top of page

ドイツ連邦共和国大使館 文化課長

ダーヴィット・メラー様

 イスラエル大使、マーロン国連大学長、石岡様、セグレディー様、ご臨席の皆さま、1945年1月27日のアウシュビッツ/ビルケナウの強制収容所解放によって、世界が想像だにできない恐怖の証人となりました。そしてその経緯と人道性において例を見ない大量虐殺を目の当たりにしたことになったのです。ホロコーストはドイツの歴史の一時代であり、もっとも暗い一章となっています。

 看過できない犯罪は過去との取り組みにおいてドイツの政治の基本的な要素となっています。これをなかったことにすることはできず、今日においても歴史と寛容性の欠如、偏見の最終的な行きつく先を思いださせてくれます。すべての強制収容所が解放されて73年が経過した今、私たちはそこで殺害された人々に思いを馳せています。

 私達ドイツ人にとりまして、記憶の文化というものは同時に未来に目を向けたものでもあります。私達は最近世界の多くの地域で人種的、そして一部明らかに反ユダヤ的な動きが表面化しようとしていることを憂慮しております。こうした動きがあるからこそ深い歴史認識の意義がいっそう重みを増すとともに、ドイツであれ、世界の他の地域であれ、反ユダヤ主義は決して許容できないという姿勢をはっきりと断固として示すことの重要性が明白になっております。

 さらに次の世代にこうしたテーマの大切さを認識させ、その歴史的背景の啓もう活動を行うことは私たちの義務であります。学校でホロコーストと第二次世界大戦の授業を行うことはドイツの過去の克服の基本となっています。私達はこうした教育活動が社会での反ユダヤ主義的な動きの活性化を阻止することになると考えています。

こうしたことから石岡史子様とホロコーストセンターの素晴らしいご活動に感謝を申し上げます。日本はアウシュビッツなどから何千キロと離れていますが、ここから得る教訓は普遍的なものです。石岡様は日本の生徒にホロコーストへの意識を根付かせ、13歳のユダヤ人少女ハンナ・ブレイディの生涯を通じてユダヤ人大量虐殺をまさに若者がよく理解して納得する方法で教えていらっしゃいます。同センター通称Kokoroの大切な活動を支援させていただきますことを私どもはたいへんうれしく思っております。

 最後にホロコーストを生き抜かれ本日自らの人生を語っていただくヤーノシュ・セグレディ様と面識を持てますことを非常に光栄に思っております。セグレディ氏の体験は、信じがたいことを理解し、ホロコーストを体験者の視点から理解する助けとなります。セグレディ様にはご自身の体験を分かち合う機会を提供していただいたことに対して心より感謝を申し上げます。ご静聴ありがとうございました。

2018年1月25日 「ホロコースト国際デー2018 in 東京」国連大学にて

bottom of page